VOICE

#1

Thomas Ware & Sons LTD

我々の製法は、時間がかかり価格が高くなる。
SHOLIはその理由と、そこから生まれる価値を
お客様にしっかり伝えてくれる。

バリー・ナイト(Barry Knight)営業開発部長

2016年、日本販売総代理店契約を締結したトーマスウェア&サンズ社。ブライドルレザーで絶対的知名度を持つ同社が、なぜ当社を販売パートナーに選んだのか、革製品・革素材の展覧会APLF香港の会場で、営業開発部長のバリー・ナイト氏に話をうかがった。

お客様から需要があり続ける限り、
伝統的な製法を続ける。

左:バリー・ナイト(Barry Knight)<br />
右:ミッシェル・ニコルソン(Michelle Nicholson)広報担当

左:バリー・ナイト(Barry Knight)
右:ミッシェル・ニコルソン(Michelle Nicholson)広報担当

日本に限らず、世界の鞄・ハンドバッグ・革小物業界はトレンドの変化や業界内での競争が非常に激しい。正直、1年先を見据えてオーダーを受け生産する私たちの製品は、ある意味それと対極にあるといえ、中長期的に成長してゆくために、TWSブランドの価値を高めていくことは大変難しいといえます。しかし、我々はこの製法を変えるつもりはありません。なぜなら、それが革の作り方だからです。

トーマスウェア&サンズ社(以下、TWS)は、公式では1840年に設立となっていますが、実際にはタンナーとしての仕事はその以前から行っており、正確な創業はもっと古いんです。そしてその頃から、当時すでに伝統製法といわれていた手法で革を鞣していたのです。「ベジタブルタンニン鞣しは15~20週間、オークバーク鞣しは365日+1日という大変な時間をピット槽に漬けて革を鞣す」。この製法は1440年代に英国のレザー組合が決めたことで、我々が決めたことではないのです。だから我々が都合に合わせて変えてはいけないのです。お客様から需要があり続ける限り、伝統的な製法を続けるというのが我々の使命でもあります。

SHOLIは、プロフェッショナル。
革のことをよく理解している。

とはいうものの、我々の革は製法にとても時間がかかり、しかもそれゆえに価格が高くなる。それは先にも言いましたが、トレンドの対極にあります。例えば、このイベント「APLF香港」に来ているお客様でも、TWSの革の価値に共感してくれる方は多くはありません。その点、SHOLIはプロフェッショナル。革のことをよく知っており、我々がやっていることを理解してくれて、それを日本のお客様にストレートに伝えてくれます。そして、我々と価値をシェアできる日本のお客様とTWSブランドを結びつけてくれる。時には我々の既存の革製品をみて、「これは絶対に売れる」と日本に紹介してくれたこともありますし、またある時には逆に日本のクリエイターが求めている新しい革の情報を紹介してくれて、新商品開発につなげたり…。

我々の原皮の在庫についても、気にかけてくれるんです。例えばショルダー部分ばかり在庫が残ってしまうと我々としては非常に困るわけで、そうした原材料の歩留まりの効率など、タンナーの事情にも気を配ってくれている。そんなバイヤーなんて、世界を見てもそうそういませんよ。ですからSHOLIとの関係には非常に強い自信を持っていますし、SHOLIの要望にもできるだけ早く応えるように努力しています。

SHOLIには、
英国女王賞の受賞に立ち会う資格がある。

TWSは2018年、英国の企業にとって最高の誇りといえる「英国女王賞(Queen’s Award for
Enterprise)」を受賞しました。我々がこの名誉を得られたのも、SHOLIが輸出の成長に大きく貢献してくれたから。実はTWSの輸出の比率は、この5年間で4%から45%に大幅に増え、全売上高のおよそ1/3ほどをSHOLIが担っています。SHOLIは日本市場のニーズを予測し、我々を成功に導いてくれたと思っています。HRH
The Duke of
Kent(第2代ケント公爵エドワード王子)の表敬訪問を受けた受賞セレモニーに、SHOLIを代表してミスター・サカモトを招待したのですが、それは当然の流れ。我々にとって特別なパートナーシップなのですから。

そんなSHOLIと現在取り組んでいるのが、日本市場・中国市場での意匠登録をはじめとするTWSブランドの保護です。模倣品の流通、不正売買や乱売によるブランド価値の失落は、TWSブランドの価値を認めていただいているお客様への背信にもつながる行為です。我々は製法を守り、SHOLIがブランド価値を守る。そうすることで、伝統を未来に繋げていけると信じています。

ピット槽を使った伝統的製法で鞣した革に、さらに手作業により蝋分をしっかり染み込ませて作られるブライドルレザー。<br />
使うほどに艶が増し、深みのある色味へと変化していく表情が大きな特徴で、海外有名ブランドの高級製品素材としても使われ、世界的に高い評価を受けている。

ピット槽を使った伝統的製法で鞣した革に、さらに手作業により蝋分をしっかり染み込ませて作られるブライドルレザー。
使うほどに艶が増し、深みのある色味へと変化していく表情が大きな特徴で、海外有名ブランドの高級製品素材としても使われ、世界的に高い評価を受けている。