革について

  1. 革について
  2. 革の種類や特徴
  3. 植物タンニン鞣し

植物タンニン鞣し

植物タンニン鞣剤としての歴史は古く、紀元前600年頃すでに地中海沿岸で、植物組織からの抽出物の使用が一般化されていました。植物タンニンは複数の(多価)の水酸基を有する種々の芳香族化合物(フェノール性化合物)を包含するもので、高等植物から洋歯類、地衣類などの下等植物にいたる、ほとんどの植物に存在します。
しかしその組成や含有量は、植物の種類、部位、生育状態などに大きく異なります。さらに抽出物中には化学構造の異なる各種タンニン、その前駆物質あるいは分解生物、有機酸及びその塩類など様々な物質が含まれています。
鞣剤として見た場合、植物タンニンの最も特徴的な性質は、タンパク質への結合能が大きく、タンパク質を凝固、固定する能力が強いことであり、これが鞣剤としての性質(鞣皮性)の基礎をなしています。
しかし現場で使用する植物タンニン鞣剤は、植物からの抽出物(エキス)であるため、主成分の他に上記のように種々の副成分を含んでいるため、これらの副成分も鞣し効果に影響します。
このため、鞣剤中で皮粉への吸着能を持つ成分をタンニン分、持たないものを非タンニン分として鞣剤の特徴を示す尺度の一つとしていますが、分析条件で往々にして変動するため完全なものではありません。

参考文献
総合皮革化学
発行者:日本皮革技術協会
基礎皮革化学
発行者:日本皮革技術協会