革について

  1. 革について
  2. 革の種類や特徴
  3. 使用する仕上げ剤

使用する仕上げ剤

カゼイン仕上げ(水性)

天然物系仕上げ剤であるカゼインを主成分とし、染料、ワックス等を配合した仕上げ剤を用いて革表面に塗布する仕上げです。この仕上げの特徴は、ホルムアルデヒド液の添加あるいは別に塗布することによりタンパク質系バインダー膜の固定処理により耐水性等が付与できます。一般的に、タンパク質系仕上げ剤の塗膜は乾燥後にグレージングを行い、圧力と熱を伴う摩擦により生じます。ドイツボックス、カーフ、キッド等の革本来の銀面を生かす仕上げの場合行われます。

水性ポリマー(バインダー)仕上げ

合成樹脂バインダー(水溶液型、デイスパージョン型及びエマルジョン型)を主に使用し、革表面に塗装を形成する仕上げです。下塗り及び中塗りにおいて使用し、充填性、造膜性、機械的性状等の強弱により、バインダーの選択及び配合を行った仕上げ剤を用いて塗装を行います。特に造膜性の強いバインダーを主に使用した場合は、塗膜のプラスチック感が強くなるので、これを抑制するために天然物系及び合成物系助剤(例えばタンパク質系バインダー、ワックス等)を添加することがあります。
バインダーを塗装し、乾燥後にアイロン処理を行い、塗膜の均一化と平滑化が行われます。近年、従来の下塗り及び中塗り用のポリマーバインダーだけでなく、上塗りにも使用可能な皮膜性状を持ったエマルジョンタイプの仕上げ剤が使用されるようになってきました。

硝化綿(ラッカー)仕上げ

硝化綿を主成分とした仕上げ剤で上塗り塗膜を形成します。ラッカー膜の外観は艶がある場合と艶消し(マット調)があります。艶は、硝化綿ラッカーの種類により異なり、皮膜の硬さ、伸び性、艶等を考慮して選択します。なお、艶消し剤(マット剤)はケイ酸塩、透明の体質顔料等を硝化綿と調合した仕上げ剤であり、添加量を変えることにより、艶の程度が調節できます。
硝化綿系ラッカーは、クリアータイプが一般的であるが、他にW/Oタイプ及びO/Wタイプの乳化液もありそれぞれの塗膜特性に応じた使用方法があります。すなわち、クリアータイプは耐水性、摩擦耗性が優れ艶が出やすい仕上げ剤です。また、感触、防水性等の付与のためにワックス系、オイル系、シリコン系等の助剤を添加する場合があります。また、W/Oタイプは上塗りに使用されるが、クリアータイプよりもプラスチック感の少ない感触が得られ、外観も革の自然な感覚を重視する等の特徴を持ち」、この2種は、シンナーで溶解・稀釈して塗布します。
一方、O/Wタイプは、水性ポリマー系バインダーの下塗り、及び中塗り用配合液中に添加され、塗膜の粘着性の減少、充填性の向上等に効果があり、水で稀釈して塗布します。

参考文献
総合皮革化学
発行者:日本皮革技術協会
基礎皮革化学
発行者:日本皮革技術協会